〔会計不正調査報告書を読む〕
【第26回】
株式会社エナリス
「第三者調査委員会調査報告書(平成26年12月12日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【調査委員会の概要】
〔適時開示(不正発覚)〕
- 2014(平成26)年11月12日
「平成26年12月期第3四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出に関するお知らせ」 - 同年11月20日
「第三者調査委員会の設置に関するお知らせ」
〔第三者委員会〕
委員長:日野 正晴(弁護士)
委 員:水上 洋(弁護士)
委 員:和田 芳幸(公認会計士)
〔調査期間〕
2014(平成26)年11月20日から12月12日まで
〔調査依頼者〕
株式会社エナリス
〔調査目的〕
(1) 会計処理に疑義が生じている本取引及び疑義が生じる可能性のある取引等を網羅的に調査し、事実関係及び発生原因を解明し、責任の所在を明確にするとともに、再発防止策の提言を行う。
(2) 上記(1)を踏まえてエナリスが行うべき適切な会計処理の検討を行う。
〔適時開示〕
- 2014(平成26)年12月12日
「第三者調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
「過年度に係る有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び決算短信等の一部訂正に関するお知らせ」
「業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」 - 同年12月19日
「第三者調査委員会からの追加報告書の受領及び再発防止策に関するお知らせ」
株式会社エナリスの概要
株式会社エナリス(以下「エナリス」と略称する)は、2004年(平成11年)12月設立。電力をはじめとするエネルギー商品の購入・販売コンサルティング及び特定電気事業者に対する業務代行、卸電力の売買取引仲介などを主な事業としている。連結売上高10,177百万円、連結経常利益681百万円(数字はいずれも平成25年12月期)。従業員数100名。本店所在地、東京都千代田区。東証マザーズ上場。
調査報告書のポイント
1 調査に至った経緯――WEBサイトへの書き込み
エナリスが、「一部WEBサイトへの書込みについて」と題するリリースを公表したのは、平成26年10月24日であった。そこでは、エナリスの平成25年12月期有価証券報告書に記載のあるテクノ・ラボ株式会社(以下「テクノ・ラボ」と略称する)に対する売掛金10億500万円の実在性に関する疑義が書き込まれていることに対し、同社との契約解除を認めたうえで、同じ発電設備を東証一部の金融機関に販売し、12月末までに入金予定であることが説明されていた。
しかし、その後、当該取引についての疑義が拡大し、社内調査委員会による調査を経て、第三者調査委員会による調査が行われるに至ったものである。
2 調査報告書により判明した事実
(1) 不適切な会計処理と認定された取引類型
第三者調査委員会が不適切な会計処理であると認定した取引は、次のとおり7つに分類されている。
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