〔会計不正調査報告書を読む〕
【第69回】
亀田製菓株式会社
「独立調査委員会調査報告書(平成29年12月14日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【独立調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2017(平成29)年10月31日
「子会社における不適切な会計処理の判明及び平成30年3月期第2四半期決算発表延期のお知らせ」
〔独立調査委員会〕
【委員長】
前田 仁(社外取締役・独立役員)
(当初リリースでは、委員長は湯原孝雄(社外監査役・独立役員)であった)
【委 員】
坂本 正元(社外取締役・独立役員)
篠田 憲明(弁護士)
高岡 俊文(公認会計士)
調査補助者として、三宅坂法律事務所所属の弁護士2名、株式会社KPMG FAS所属の公認会計士等16名、KPMGバンコクオフィス所属の担当者4名が参加している。
〔調査期間〕
2017(平成29)年10月31日から12月14日まで
〔調査の目的〕
① 本件不正会計処理の事実関係の確認
② 類似事象の有無の確認
③ 本件不正会計処理の原因分析
④ 本件不正会計処理の再発防止策の提言
〔適時開示(調査結果)〕
- 2017(平成29)年12月14日
「独立調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
「再発防止策に関するお知らせ」
「人事異動に関するお知らせ」
「過年度有価証券報告書の訂正報告書の提出及び過年度決算短信等の訂正に関するお知らせ」
【亀田製菓株式会社の概要】
亀田製菓株式会社(以下「亀田製菓」と略称する)は、昭和32(1957)年設立。菓子の製造販売事業を中核事業とする。傘下に13社の連結子会社を有する。連結売上高98,206百万円、経常利益7,122百万円、従業員数3,152名(数字はいずれも平成29年3月期)。本店所在地は新潟県新潟市。東京証券取引所1部上場。今回、不適切な会計処理が発覚したTHAI KAMEDA CO LTD(以下「TKD」と略称する)は、1990年1月設立、平成21(2009)年2月に亀田製菓が子会社化した、菓子の製造販売会社である。2017年3月期の売上高は433,242千タイバーツ(約15億円)であり、亀田製菓グループ売上高の1%強となっている。
【調査報告書の概要】
1 調査に至る経緯
2017年8月、亀田製菓常勤監査役である荒木徹氏(報告書上はK01。以下「荒木常勤監査役」と略称する)は、TKDの財務諸表を確認したところ、棚卸資産残高が売上高に比して過大であると考え、TKD副社長に棚卸資産の実在性について確認するように求めるとともに、TKDに往訪予定であった常務執行役員管理本部長である小林章氏(報告書上はK03。以下「小林常務執行役員」と略称する)に対して、TKD棚卸資産の現地確認を依頼した。
TKD副社長、小林常務執行役員とも、TKDの棚卸資産の実在庫が貸借対照表残高より過少であることを確認し、亀田製菓代表取締役会長及び代表取締役社長に報告を行い、亀田製菓経理部長及び監査部長が実地棚卸作業を含む棚卸資産の精査を行うこととした。
その結果、平成29年9月末時点において約6億5,000万円の棚卸資産の過大計上の可能性が判明したため、社内調査を進める一方、独立調査委員会を設置して、本件不正会計処理に関する調査の客観性及び信頼性を高めるとともに、事態の全容把握とその根本的な原因を解明し、実効性の高い再発防止策を策定することとした。
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