〔会計不正調査報告書を読む〕
【第75回】
ブロードメディア株式会社
「第三者委員会調査報告書開示版(平成30年5月23日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【第三者調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2018(平成30)年1月30日
「連結子会社の架空取引被害及び当社の平成30年3月期第3四半期決算発表延期に関するお知らせ」 - 同年3月14日
「業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」
「連結子会社の架空取引被害に関わる現在の状況に関するお知らせ」 - 同年4月13日
「第三者委員会設置に関するお知らせ」
「連結子会社の架空取引被害に関わる調査状況のお知らせ」 - 同年4月20日
「第三者委員会の委員決定に関するお知らせ」
〔第三者委員会〕
【委員長】
本村 健(弁護士)
【副委員長】
和田 芳幸(公認会計士)
【委 員】
河江 健史(公認会計士)
戸澤 晃広(弁護士)
他に、委員会の直属として、弁護士5名、公認会計士7名、その他2名、デジタル・フォレンジックス調査等の支援のためにPwCビジネスアシュアランス合同会社に所属する専門家26名の補助を受けた。
〔調査期間〕
2018(平成30)年4月20日から2018(平成30)年5月21日まで
〔調査の目的〕
① 連結子会社における架空取引を当社の役員が認識していた可能性の検討
② 上記架空取引に類似する取引等の有無の検討
③ その他、第三者委員会が必要と認める調査
〔適時開示(調査結果)〕
- 2018(平成30)年5月23日
「第三者委員会の調査報告受領及び平成30年3月期決算発表日に関するお知らせ」 - 同年7月20日
「過年度の決算短信等の訂正及び有価証券報告書等の訂正報告書提出に関するお知らせ」
【ブロードメディア株式会社の概要】
ブロードメディア株式会社(以下「ブロードメディア」と略称する)は、1996年9月設立、1998年11月事業開始。映像コンテンツの制作、流通、配信を主たる事業とする。連結売上高10,800百万円、連結経常利益81百万円、従業員数405名(数字は、いずれも2018年3月期)。JASDAQ上場。架空取引による被害を生じた連結子会社の株式会社釣りビジョン(以下「釣りビジョン」と略称する)は1998年3月設立。主として釣りに関する映像コンテンツを制作し、BS、CS放送に配信している。資本金約11億4千万円。売上高5,854百万円、経常利益314百万円(数字はいずれも訂正前の2017年3月期実績)。主な株主はブロードメディア株式会社(51%)、株式会社シマノ、株式会社東北新社。
【調査報告書の概要】
1 調査に至る経緯
ブロードメディアは、2018年1月16日、連結子会社である釣りビジョンの業務委託先企業である株式会社A(以下「A社」という)の代理人弁護士から、2007年から2017年にわたる映像受託制作取引につき、クライアントとのやり取り等を含めた取引全体が架空(以下「本件架空取引 」という)であった旨の報告を受けたことから、同日より1月30日までの間、内部で可能な調査を進め、1月30日付で、「連結子会社の架空取引被害及び当社の平成30年3月期第3四半期決算発表延期に関するお知らせ」を公表すると同時に、社内調査委員会を設置して調査を進め、調査内容を3月14日、4月13日に公表した。
しかし、2017年12月期第3四半期報告書に係る四半期レビュー報告書について、会計監査人である仁智監査法人による結論が不表明であったこと、また、社内調査委員会によるヒアリングや調査を済ませていた内部者より、改めてブロードメディア役員に係る追加調査をすべき旨の申告があり、ブロードメディア役員が架空取引を認識していた可能性に言及されていた点等を踏まえ、より慎重に調査範囲の拡大を行う必要があると判断したことから第三者委員会を設置し、更なる調査を行うこととした。
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