〔会計不正調査報告書を読む〕
【第79回】
スルガ銀行株式会社
「第三者委員会調査報告書(平成30年9月7日付)」
(後編)
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
前編はこちら
本稿では、【前編】に引き続き、スルガ銀行第三者委員会調査報告書について、スルガ銀行取締役・監査役の法的責任、経営責任についての第三者委員会の評価を検証するとともに、調査報告書公表後の事態の推移を見ておきたい。
合わせて、インターネット上で報じられている被害の実態について、第三者委員会の調査により事実関係が確認できている部分と、それ以外の部分とに分けて、解説したい。
【第三者調査委員会の概要】(再掲)
〔適時開示〕
- 2018(平成30)年5月15日
「シェアハウス関連融資問題に関する経緯のご報告と今後の対応について」
「危機管理委員会による調査結果の要旨」
〔危機管理委員会〕
【委員長】
久保利 英明(弁護士)
【委 員】
国廣 正(弁護士)
宮野 勉(弁護士)
〔調査期間〕
2018(平成30)年1月から5月15日まで
〔第三者委員会〕
【委員長】
中村 直人(弁護士)
【委 員】
仁科 秀隆(弁護士)
山田 和彦(弁護士)
倉橋 雄作(弁護士)
他に調査補助者として、中村・角田・松本法律事務所所属の弁護士4名と、デジタル・フォレンジック調査及びアンケート調査の実施のため調査補助者として、株式会社KPMGFASから、合計46名の役職員を当委員会に直属させた。
〔調査期間〕
2018(平成30)年5月15日から9月17日まで
〔調査の目的〕
① 2018年1月にスマートデイズがシェアハウスオーナーに対する賃料支払いを中止したことに端を発するシェアハウス関連融資の問題についての事実の調査及び原因の究明
② 上記①の問題発覚を受けてスルガ銀行が実施した顧客アンケート及び行員アンケートの分析並びに追加アンケートの要否の検討
③ 上記②のアンケート結果に顕れた疑念及び報道等により指摘されている事項についての事実の調査及び原因の究明
④ スルガ銀行の内部管理体制に関する調査並びに再発防止策の検討及び提言
⑤ 前各号に係る調査等の結果を記載した調査報告書の作成
〔適時開示(調査結果)〕
- 2018(平成30)年9月7日
「代表取締役及び役員の異動に関するお知らせ」
「第三者委員会の調査報告書の受領と今後の当社の対応について」 - 同年9月14日
「「取締役等責任調査委員会」及び「監査役責任調査委員会」の設置について」 - 同年10月5日
「当社に対する行政処分について」 - 同年11月12日
「シェアハウスその他の収益不動産に係る融資問題に関する当社現旧取締役及び旧執行役員に対する損害賠償請求訴訟の提起等に関するお知らせ」
【調査報告書の概要(その2)】
1 スルガ銀行が計上した損失
第三者委員会調査報告書によれば、スルガ銀行はシェアハウスローンに関して、2018年3月期に42,049百万円の貸倒引当金を計上するとともに、他の投資用不動産関連融資についてもシェアハウスローンと類似のリスクがあることから、16,226百万円の貸倒引当金を計上した。
この結果、スルガ銀行は2018年6月期までに、収益不動産ローン全般で71,796百万円の貸倒引当金を計上しているということである。
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