公開日: 2025/05/08 (掲載号:No.617)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第168回】株式会社トーシンホールディングス「第三者委員会調査報告書(公開版)(2025年2月13日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第168回】

株式会社トーシンホールディングス

「第三者委員会調査報告書(公開版)(2025年2月13日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【株式会社トーシンホールディングス第三者委員会の概要】

〔適時開示〕

〔第三者委員会の構成〕

【委員長】

中畑章生(弁護土 弁護士法人オールスター)

【委 員】

星野一郎(弁護士 弁護士法人オールスター)

矢野 直(公認会計士・税理士 矢野公認会計士事務所)

【調査補助者】

藤居幸祐(CDFP-P・税理士・公認不正検査士 藤居税理士事務所)

寺町雅人(公認会計士・税理士 寺町公認会計士事務所)

ほか、公認会計士5名

〔調査期間〕

2024年12月20日から2025年2月13日まで

〔第三者委員会の目的〕

 社内調査により判明した本事案にかかる事実関係調査(具体的には、キャッシュバックにかかる債務の網羅性、キャッシュバックにかかる会計処理についての確認)

 本件に類似する事象の有無の調査

 再発防止策の検討・提言

 その他、第三者委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【株式会社トーシンホールディングスの概要】

株式会社トーシンホールディングス(以下「トーシンHD」と略称する)は、1988(昭和63)年設立。設立時の社名は東新産業株式会社。2000(平成23)年、株式会社トーシンへの社名変更を経て、2018(平成30)年、現社名に商号変更。移動体通信関連事業、不動産事業及びリゾート事業を主たる事業とし、国内子会社4社を有している。連結売上高17,400百万円、連結経常利益578百万円、資本金742百万円。従業員数132名(訂正前の2024年4月期連結実績)。本店所在地は愛知県名古屋市中区。創業者であり、代表取締役会長兼社長の石田信文氏(以下、「会長兼社長」と略称する)及びその配偶者である取締役石田ゆかり氏並びに会長兼社長が代表取締役を務める株式会社ジェットが、発行済み株式数の44.33%を所有する大株主である。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は、2024年4月期決算までは監査法人東海会計社(以下、「東海会計社」と略称する)で、その後、一時会計監査人として有限責任中部総合監査法人(以下、「中部総合監査法人」と略称する)が選任されている(2024年8月9日付で異動)。

トーシンHDの会社案内によれば、同社は子会社である株式会社トーシンモバイル(以下「トーシンモバイル」と略称する)が、愛知県を中心に、岐阜県、三重県、静岡県及び長野県でソフトバンクショップ店舗及びauショップ店舗を運営している。

 

【第三者委員会による調査報告書の概要】

1 第三者委員会設置の経緯

2024年10月6日、2024年4月期までトーシンHDの会計監査人であった東海会計社のホームページ宛てに、1年以上前から1億円以上のキャッシュバックの未払金があり、決算担当取締役がこれを知りながら意図的に隠蔽したこと等を指摘する趣旨のメールが送信された。トーシンHDは、2023年頃から、想定よりもキャリアからの入金が少ないことの原因等を継続的に調査していたが、前記メールを受け、さらに各種調査を行い、その結果、トーシンHDが想定していた以上のキャッシュバックが現場で行われていた可能性があること、キャッシュバックの一部がエンドユーザーに対して未払となっていること、これらの内容が決算上適切に反映されていない可能性を認識するに至った。

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【第168回】

株式会社トーシンホールディングス

「第三者委員会調査報告書(公開版)(2025年2月13日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【株式会社トーシンホールディングス第三者委員会の概要】

〔適時開示〕

〔第三者委員会の構成〕

【委員長】

中畑章生(弁護土 弁護士法人オールスター)

【委 員】

星野一郎(弁護士 弁護士法人オールスター)

矢野 直(公認会計士・税理士 矢野公認会計士事務所)

【調査補助者】

藤居幸祐(CDFP-P・税理士・公認不正検査士 藤居税理士事務所)

寺町雅人(公認会計士・税理士 寺町公認会計士事務所)

ほか、公認会計士5名

〔調査期間〕

2024年12月20日から2025年2月13日まで

〔第三者委員会の目的〕

 社内調査により判明した本事案にかかる事実関係調査(具体的には、キャッシュバックにかかる債務の網羅性、キャッシュバックにかかる会計処理についての確認)

 本件に類似する事象の有無の調査

 再発防止策の検討・提言

 その他、第三者委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【株式会社トーシンホールディングスの概要】

株式会社トーシンホールディングス(以下「トーシンHD」と略称する)は、1988(昭和63)年設立。設立時の社名は東新産業株式会社。2000(平成23)年、株式会社トーシンへの社名変更を経て、2018(平成30)年、現社名に商号変更。移動体通信関連事業、不動産事業及びリゾート事業を主たる事業とし、国内子会社4社を有している。連結売上高17,400百万円、連結経常利益578百万円、資本金742百万円。従業員数132名(訂正前の2024年4月期連結実績)。本店所在地は愛知県名古屋市中区。創業者であり、代表取締役会長兼社長の石田信文氏(以下、「会長兼社長」と略称する)及びその配偶者である取締役石田ゆかり氏並びに会長兼社長が代表取締役を務める株式会社ジェットが、発行済み株式数の44.33%を所有する大株主である。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は、2024年4月期決算までは監査法人東海会計社(以下、「東海会計社」と略称する)で、その後、一時会計監査人として有限責任中部総合監査法人(以下、「中部総合監査法人」と略称する)が選任されている(2024年8月9日付で異動)。

トーシンHDの会社案内によれば、同社は子会社である株式会社トーシンモバイル(以下「トーシンモバイル」と略称する)が、愛知県を中心に、岐阜県、三重県、静岡県及び長野県でソフトバンクショップ店舗及びauショップ店舗を運営している。

 

【第三者委員会による調査報告書の概要】

1 第三者委員会設置の経緯

2024年10月6日、2024年4月期までトーシンHDの会計監査人であった東海会計社のホームページ宛てに、1年以上前から1億円以上のキャッシュバックの未払金があり、決算担当取締役がこれを知りながら意図的に隠蔽したこと等を指摘する趣旨のメールが送信された。トーシンHDは、2023年頃から、想定よりもキャリアからの入金が少ないことの原因等を継続的に調査していたが、前記メールを受け、さらに各種調査を行い、その結果、トーシンHDが想定していた以上のキャッシュバックが現場で行われていた可能性があること、キャッシュバックの一部がエンドユーザーに対して未払となっていること、これらの内容が決算上適切に反映されていない可能性を認識するに至った。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

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公認会計士 山岡信一郎 著

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法務コンプライアンス実践ガイド

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