公開日: 2026/03/26 (掲載号:No.662)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第183回】ニデック株式会社「第三者委員会調査報告書(公表版)(2026年2月27日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第183回】

ニデック株式会社

「第三者委員会調査報告書(公表版)(2026年2月27日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ニデック株式会社第三者委員会による調査の概要】

【適時開示】

【第三者委員会の構成】

【委員長】

平尾 覚(弁護士 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)

【委 員】

井上寅喜(公認会計士 株式会社アカウンティング・アドバイザリー)

白井 真(弁護士 光和総合法律事務所)

【調査補助者】

西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、光和総合法律事務所、八雲法律事務所、弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所及び株式会社アカウンティング・アドバイザリー所属の弁護士ら合計35名

株式会社アカウンティング・アドバイザリー及びEY新日本有限責任監査法人所属の公認会計士ら合計81名及びその他スタッフ合計77名

〔調査期間〕

2025年9月3日調査開始、現在も調査継続中

〔調査目的〕

(1) ニデックグループにおける資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整などの不適切な会計処理の疑義に係る事実関係の調査

(2) 不適切な会計処理が判明した場合、その影響額の算定

(3) 不適切な会計処理が判明した場合、その原因の究明及び再発防止策の提言

(4) その他、第三者委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ニデック株式会社の概要】

ニデック株式会社(報告書上は「ニデック」、以下「ニデック」と略称する)は、創業者の永守重信氏(以下「永守氏」と略称する)が、日本電産株式会社を1973(昭和48)年7月に設立し、創業以来、M&Aを原動力の一つとして急速に事業領域を拡大している。ニデックグループは、ニデックに加え、合計354社の子会社及び関連会社で構成されており、2025年9月末日時点、小型モータ事業本部、車載事業本部、家電・車載事業統括本部、モーション&エナジー事業本部及び機械事業本部という5つの事業本部が設けられている。売上高2,607,813百万円、税引前当期利益233,309百万円、資本金87,784百万円、従業員数104,265人(いずれも2025年3月期連結実績)。本店所在地は京都市南区。東京証券取引所プライム市場に上場。会計監査人は、PwC Japan有限責任監査法人京都事務所(以下、「PwC Japan」と略称する)で、合併前のPwC京都監査法人(以下、「PwC京都」と略称する)が担当していた期間も含め、継続監査期間は40年である(2025年3月期有価証券報告書)。

〈事案の経緯〉

2025年6月27日 第52期有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出
イタリア子会社における貿易取引上の問題等の存在を公表
2025年9月3日 第三者委員会の設置を公表
2025年9月26日 2025年3月期有価証券報告書の提出
2025年10月27日 東京証券取引所による特別注意銘柄指定
2025年12月19日 代表取締役、取締役の辞任及び役職変更に関するお知らせ
2026年1月28日 「改善計画・状況報告書」の公表に関するお知らせ
2026年2月26日 名誉会長辞任に関するお知らせ

 

【調査報告書の概要】

1 第三者委員会設置の経緯

2025年7月22日、ニデックの子会社であるニデックテクノモータ株式会社の内部監査部門から、ニデックの内部監査部門及び監査等委員会に対し、その中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)有限公司において、サプライヤーから受領した購買一時金に関して不適切な会計処理が行われた疑いがあるとの報告があったことを契機に、ニデックは、外部の法律事務所等の専門家を起用し、監査等委員会の監督の下、フォレンジック調査を含む調査を進めてきたが、その過程で、ニデックグループの様々な拠点において、資産性に疑義のある資産が滞留しており、ニデックの経営陣が、その処理の時期を恣意的に検討しているとも解釈し得る資料等が発見された。

このような状況を受け、ニデックは、監査等委員会が主導する調査ではなく、会社から独立した第三者による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日、取締役会において、第三者委員会を設置することを決定した。

なお、ニデックテクノモータ(浙江)有限公司における、購買一時金に関する不適切な会計処理に関する疑義は、同社に新たに着任した日本人総経理が、不適切な会計処理が行われた可能性があることを把握して、ニデックテクノモータ株式会社の内部監査部門に報告したことにより発覚したものである。

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第183回】

ニデック株式会社

「第三者委員会調査報告書(公表版)(2026年2月27日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ニデック株式会社第三者委員会による調査の概要】

【適時開示】

【第三者委員会の構成】

【委員長】

平尾 覚(弁護士 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)

【委 員】

井上寅喜(公認会計士 株式会社アカウンティング・アドバイザリー)

白井 真(弁護士 光和総合法律事務所)

【調査補助者】

西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、光和総合法律事務所、八雲法律事務所、弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所及び株式会社アカウンティング・アドバイザリー所属の弁護士ら合計35名

株式会社アカウンティング・アドバイザリー及びEY新日本有限責任監査法人所属の公認会計士ら合計81名及びその他スタッフ合計77名

〔調査期間〕

2025年9月3日調査開始、現在も調査継続中

〔調査目的〕

(1) ニデックグループにおける資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整などの不適切な会計処理の疑義に係る事実関係の調査

(2) 不適切な会計処理が判明した場合、その影響額の算定

(3) 不適切な会計処理が判明した場合、その原因の究明及び再発防止策の提言

(4) その他、第三者委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ニデック株式会社の概要】

ニデック株式会社(報告書上は「ニデック」、以下「ニデック」と略称する)は、創業者の永守重信氏(以下「永守氏」と略称する)が、日本電産株式会社を1973(昭和48)年7月に設立し、創業以来、M&Aを原動力の一つとして急速に事業領域を拡大している。ニデックグループは、ニデックに加え、合計354社の子会社及び関連会社で構成されており、2025年9月末日時点、小型モータ事業本部、車載事業本部、家電・車載事業統括本部、モーション&エナジー事業本部及び機械事業本部という5つの事業本部が設けられている。売上高2,607,813百万円、税引前当期利益233,309百万円、資本金87,784百万円、従業員数104,265人(いずれも2025年3月期連結実績)。本店所在地は京都市南区。東京証券取引所プライム市場に上場。会計監査人は、PwC Japan有限責任監査法人京都事務所(以下、「PwC Japan」と略称する)で、合併前のPwC京都監査法人(以下、「PwC京都」と略称する)が担当していた期間も含め、継続監査期間は40年である(2025年3月期有価証券報告書)。

〈事案の経緯〉

2025年6月27日 第52期有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出
イタリア子会社における貿易取引上の問題等の存在を公表
2025年9月3日 第三者委員会の設置を公表
2025年9月26日 2025年3月期有価証券報告書の提出
2025年10月27日 東京証券取引所による特別注意銘柄指定
2025年12月19日 代表取締役、取締役の辞任及び役職変更に関するお知らせ
2026年1月28日 「改善計画・状況報告書」の公表に関するお知らせ
2026年2月26日 名誉会長辞任に関するお知らせ

 

【調査報告書の概要】

1 第三者委員会設置の経緯

2025年7月22日、ニデックの子会社であるニデックテクノモータ株式会社の内部監査部門から、ニデックの内部監査部門及び監査等委員会に対し、その中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)有限公司において、サプライヤーから受領した購買一時金に関して不適切な会計処理が行われた疑いがあるとの報告があったことを契機に、ニデックは、外部の法律事務所等の専門家を起用し、監査等委員会の監督の下、フォレンジック調査を含む調査を進めてきたが、その過程で、ニデックグループの様々な拠点において、資産性に疑義のある資産が滞留しており、ニデックの経営陣が、その処理の時期を恣意的に検討しているとも解釈し得る資料等が発見された。

このような状況を受け、ニデックは、監査等委員会が主導する調査ではなく、会社から独立した第三者による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日、取締役会において、第三者委員会を設置することを決定した。

なお、ニデックテクノモータ(浙江)有限公司における、購買一時金に関する不適切な会計処理に関する疑義は、同社に新たに着任した日本人総経理が、不適切な会計処理が行われた可能性があることを把握して、ニデックテクノモータ株式会社の内部監査部門に報告したことにより発覚したものである。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

実例で学ぶ 内部通報実践対応88

株式会社 エス・ピー・ネットワーク 著 中野 真 監修

「おかしな数字」をパッと見抜く会計術

公認会計士 山岡信一郎 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

企業戦略としての役員報酬

弁護士 中西和幸 著

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

ドローン・ビジネスと法規制

森・濱田松本法律事務所 AI・IoTプラクティスグループ 編 弁護士 戸嶋浩二 編集代表 弁護士 林 浩美 編集代表 弁護士 岡田 淳 編集代表

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

架空循環取引

公認会計士 霞 晴久、 弁護士・公認不正検査士 中西 和幸、 税理士・公認不正検査士 米澤 勝 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著
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