公開日: 2017/09/14 (掲載号:No.235)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第62回】株式会社郷鉄工所 「第三者委員会調査報告書(平成29年6月23日付)」 「追加調査に対する第三者委員会中間報告書(平成29年8月8日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第62回】

株式会社郷鉄工所

「第三者委員会調査報告書(平成29年6月23日付)」

「追加調査に対する第三者委員会中間報告書(平成29年8月8日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

本稿公開時点において、郷鉄工所のホームページは閉鎖されており、調査報告書を含む公表されたリリースへのリンクは行っていない。

【第三者委員会(第一次)の概要】

〔適時開示〕

  • 2017(平成29)年3月13日
    「第三者委員会設置に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年4月21日
    「(開示事項の経過)第三者委員会設置に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年5月2日
    「第三者委員会の設置決定に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年5月31日
    「第三者委員会の調査期間延長及び平成29年3月期定時株主総会の延期に関するお知らせ」

〔第三者委員会〕

【委員長】

弁護士 矢崎 信也

【委 員】

弁護士 久野 実

弁護士 野村 朋加

弁護士 平井 朝

公認会計士 荒川 紳示

他に補助者として、弁護士3名、公認会計士1名が選任されている。

〔調査期間〕

2017(平成29)年5月31日から6月23日まで

〔調査の目的〕

(1) X社案件及びY社案件に関する事実関係を調査し、会計処理の適正性及び妥当性について検討する。

(2) 上記(1)を踏まえ、X社案件及びY社案件における会計処理の適正性及び妥当性を欠くと判断した場合には、その原因を究明する。

(3) 本上記(1)及び(2)を踏まえ、再発防止策の提言を行う。

(4) その他当委員会が必要と認めた調査対象事項の調査を行う。

〔適時開示(調査結果)〕

  • 2017(平成29)年6月23日
    「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」

(注) 上記調査の目的のうち、「X社案件」とは、郷鉄工所が他社から受注した太陽光発電施設工事のうち、会計監査人から不透明な取引との指摘を受けた案件をいい、「Y社案件」とは、郷鉄工所が行った不動産取引において、支払った手付金が回収不能となった案件をいう。

 

【第三者委員会(追加調査)の概要】

〔適時開示〕

  • 2017(平成29)年6月28日
    「(経過)第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年7月14日
    「第三者による追加調査に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年7月31日
    「追加調査に対する第三者委員会設置に関するお知らせ」

〔第三者委員会〕

【委員長】

弁護士 高野 哲也

【委 員】

弁護士 倉橋 博文

公認会計士 山田 幸平

他に補助者として弁護士1名が参加している。

〔調査期間〕

2017(平成29)年7月31日から8月8日まで

〔調査の目的〕

主に平成29年3月期における以下の内容を中心に調査を実施し、その原因を究明し、再発防止策の検討・提言を行うとともに、類似案件の有無の調査を行うことを目的としてする。

① 滞留債権の発生に至った経緯及び事実関係について

② 資金調達時の小切手・手形の管理及び支払費用の妥当性及び調達先選定の経緯について

③ 債務免除益の妥当性について

〔適時開示(調査結果)〕

  • 2017(平成29)年8月8日
    「追加調査に対する第三者委員会の中間報告書受領に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年8月25日
    「第三者委員会による追加調査の中止に関するお知らせ」

 

【株式会社郷鉄工所の概要】

株式会社郷鉄工所(以下「郷鉄工所」と略称する)は、昭和6(1931)年創業、昭和22(1947)年設立。破砕粉砕機などの産業用機械設備の開発、製造及び販売、インフラ整備事業などを手がける。売上高3,831百万円、経常損失751百万円、資本金約717百万円。平成28年3月期決算において、594百万円の債務超過となっている。従業員数約90名(調査報告書(第一次)の記載による)。本店所在地は岐阜県不破郡垂井町。東京証券取引所第2部、名古屋証券取引所第2部に上場。

 

【第三者委員会調査報告書(第一次)の概要】

1 調査に至る経緯

6月23日に公表された第三者委員会調査報告書(以下、5月31日に設置された第三者委員会を「第一次第三者委員会」、6月23日に公表された調査報告書を「第一次報告書」とそれぞれ略称する)によれば、郷鉄工所は、平成28年8月に、会計監査人である監査法人アリアから、「金融機関以外からの資金調達における不適切な手形の振出や売上の計上に関する不適切な会計処理について指摘を受けたことを契機として内部調査を開始した」ということであり、その後、「外部の公正中立かつ独立した第三者委員会に事実関係の調査等を委ねることにより、迅速に事実関係を明らかにすることが不可欠であると判断した」ため、第一次第三者委員会が設置され、「X社案件」、「Y社案件」に関する調査が実施された。

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第62回】

株式会社郷鉄工所

「第三者委員会調査報告書(平成29年6月23日付)」

「追加調査に対する第三者委員会中間報告書(平成29年8月8日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

本稿公開時点において、郷鉄工所のホームページは閉鎖されており、調査報告書を含む公表されたリリースへのリンクは行っていない。

【第三者委員会(第一次)の概要】

〔適時開示〕

  • 2017(平成29)年3月13日
    「第三者委員会設置に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年4月21日
    「(開示事項の経過)第三者委員会設置に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年5月2日
    「第三者委員会の設置決定に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年5月31日
    「第三者委員会の調査期間延長及び平成29年3月期定時株主総会の延期に関するお知らせ」

〔第三者委員会〕

【委員長】

弁護士 矢崎 信也

【委 員】

弁護士 久野 実

弁護士 野村 朋加

弁護士 平井 朝

公認会計士 荒川 紳示

他に補助者として、弁護士3名、公認会計士1名が選任されている。

〔調査期間〕

2017(平成29)年5月31日から6月23日まで

〔調査の目的〕

(1) X社案件及びY社案件に関する事実関係を調査し、会計処理の適正性及び妥当性について検討する。

(2) 上記(1)を踏まえ、X社案件及びY社案件における会計処理の適正性及び妥当性を欠くと判断した場合には、その原因を究明する。

(3) 本上記(1)及び(2)を踏まえ、再発防止策の提言を行う。

(4) その他当委員会が必要と認めた調査対象事項の調査を行う。

〔適時開示(調査結果)〕

  • 2017(平成29)年6月23日
    「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」

(注) 上記調査の目的のうち、「X社案件」とは、郷鉄工所が他社から受注した太陽光発電施設工事のうち、会計監査人から不透明な取引との指摘を受けた案件をいい、「Y社案件」とは、郷鉄工所が行った不動産取引において、支払った手付金が回収不能となった案件をいう。

 

【第三者委員会(追加調査)の概要】

〔適時開示〕

  • 2017(平成29)年6月28日
    「(経過)第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年7月14日
    「第三者による追加調査に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年7月31日
    「追加調査に対する第三者委員会設置に関するお知らせ」

〔第三者委員会〕

【委員長】

弁護士 高野 哲也

【委 員】

弁護士 倉橋 博文

公認会計士 山田 幸平

他に補助者として弁護士1名が参加している。

〔調査期間〕

2017(平成29)年7月31日から8月8日まで

〔調査の目的〕

主に平成29年3月期における以下の内容を中心に調査を実施し、その原因を究明し、再発防止策の検討・提言を行うとともに、類似案件の有無の調査を行うことを目的としてする。

① 滞留債権の発生に至った経緯及び事実関係について

② 資金調達時の小切手・手形の管理及び支払費用の妥当性及び調達先選定の経緯について

③ 債務免除益の妥当性について

〔適時開示(調査結果)〕

  • 2017(平成29)年8月8日
    「追加調査に対する第三者委員会の中間報告書受領に関するお知らせ」
  • 2017(平成29)年8月25日
    「第三者委員会による追加調査の中止に関するお知らせ」

 

【株式会社郷鉄工所の概要】

株式会社郷鉄工所(以下「郷鉄工所」と略称する)は、昭和6(1931)年創業、昭和22(1947)年設立。破砕粉砕機などの産業用機械設備の開発、製造及び販売、インフラ整備事業などを手がける。売上高3,831百万円、経常損失751百万円、資本金約717百万円。平成28年3月期決算において、594百万円の債務超過となっている。従業員数約90名(調査報告書(第一次)の記載による)。本店所在地は岐阜県不破郡垂井町。東京証券取引所第2部、名古屋証券取引所第2部に上場。

 

【第三者委員会調査報告書(第一次)の概要】

1 調査に至る経緯

6月23日に公表された第三者委員会調査報告書(以下、5月31日に設置された第三者委員会を「第一次第三者委員会」、6月23日に公表された調査報告書を「第一次報告書」とそれぞれ略称する)によれば、郷鉄工所は、平成28年8月に、会計監査人である監査法人アリアから、「金融機関以外からの資金調達における不適切な手形の振出や売上の計上に関する不適切な会計処理について指摘を受けたことを契機として内部調査を開始した」ということであり、その後、「外部の公正中立かつ独立した第三者委員会に事実関係の調査等を委ねることにより、迅速に事実関係を明らかにすることが不可欠であると判断した」ため、第一次第三者委員会が設置され、「X社案件」、「Y社案件」に関する調査が実施された。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

「おかしな数字」をパッと見抜く会計術

公認会計士 山岡信一郎 著

中小企業の事業再生等ガイドラインの実務

弁護士 福岡真之介 著 弁護士 片井慎一 著 公認会計士・税理士 松田隆志 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

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EY新日本有限責任監査法人 編

会社清算の実務Q&A

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公認会計士・税理士 橋口貢一 著

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

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最先端をとらえる ESGと法務

第一東京弁護士会 総合法律研究所 編著

企業戦略としての役員報酬

弁護士 中西和幸 著

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

経営危機における企業判断と実務対応

須藤英章 監修 東京富士法律事務所 編著

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

企業法務で知っておくべき税務上の問題点100

弁護士・税理士 米倉裕樹 著 弁護士・税理士 中村和洋 著 弁護士・税理士 平松亜矢子 著 弁護士 元氏成保 著 弁護士・税理士 下尾裕 著 弁護士・税理士 永井秀人 著

「廃業」を告げられたときの対応ガイド

TOMA税理士法人 税理士 杉井俊文 著

仮装経理の実務対応

税理士 鈴木清孝 著

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