公開日: 2021/04/08 (掲載号:No.414)
文字サイズ

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第112回】ネットワンシステムズ株式会社「外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~(開示版)(2021年3月18日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第112回】

ネットワンシステムズ株式会社

「外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~(開示版)(2021年3月18日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ネットワンシステムズ株式会社外部調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔外部調査委員会〕

【委員長】

本村 健(弁護士)

【委 員】

和田 芳幸(公認会計士)

近藤 弘(公認会計士)

長谷川 紘之(弁護士)

山田 勝也(公認会計士)

冨田 雄介(弁護士)

調査補助者として、弁護士18名、公認会計士6名、その他パラリーガル・スタッフ等を任命している。

〔調査期間〕

2020年12月16日から2021年3月16日まで

〔委嘱事項〕

ネットワンシステムズ社の当委員会に対する委嘱事項は、本件案件の原因究明及び再発防止策の提言である。

もっともネットワンシステムズ社においては、本件案件だけでなく、過去にも2013年事案、2014年事案及び2019年循環取引事案という不祥事が繰り返されており、こうした背景には、経営陣の不正リスクへの関心の低さ、不正リスク管理体制の不十分さ、コンプライアンス活動の実践に真剣に取り組む姿勢の不十分さ等の存在も疑われた。そこで、当委員会は、上記委嘱事項を検討するに当たっては、これらの事案の過去の調査結果も踏まえたうえで、必要な範囲において、ネットワンシステムズ社のガバナンス、内部統制・内部通報・企業文化、三様監査等に関する課題等の検証、2013年事案、2014年事案及び2019年循環取引事案の再発防止策の実効性評価等も行った。

〔調査結果〕

 

【ネットワンシステムズ株式会社の概要】

ネットワンシステムズ株式会社(以下「ネットワン」と略称する)は、1988(昭和63)年2月設立。情報インフラ構築と関連サービスの提供を主たる事業とする。売上高186,167百万円、経常利益16,563百万円、資本金12,279百万円、従業員数2,431名(いずれも2020年3月期連結実績)。本店所在地は東京都千代田区。東京証券取引所1部上場。会計監査人は有限責任監査法人トーマツ(以下「トーマツ」と略称する)。

◎循環取引の端緒発覚から本調査報告書公表に至る経緯

  • 2019年11月14日
    東京国税局による税務調査の過程で、納品の事実が確認できない疑義があるとの指摘を受ける。
  • 同年12月13日
    特別調査委員会による調査開始。
  • 2020年2月13日
    特別調査委員会の中間報告書の受領/公表。
  • 同年3月12日
    特別調査委員会による調査結果と今後の対応を公表。
  • 同年5月8日
    東京証券取引所による「改善報告書」の提出請求及び「公表措置」の実施。
  • 同年6月5日
    東京証券取引所への「改善報告書」の提出。
  • 同年7月13日
    財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ。
  • 同年10月26日
    外部機関からの指摘により、従業員による資金流用の疑義を認識。
  • 同年12月14日
    外部調査委員会調査報告書受領(公表は16日付)。
  • 同年12月16日
    「ガバナンス・企業文化改革委員会」の設置、東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出、監査報告書及び四半期レビュー報告書における限定付適正意見の受領。
  • 2021年3月10日
    警視庁捜査2課が、元社員の牟田友英容疑者(42)を詐欺容疑で逮捕したことを発表、「当社元従業員の逮捕について」をリリース。
  • 同年3月18日
    「外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~(開示版)」の公表。
  • 同年3月19日
    再発防止策及び今後の対応について公表。

 

【調査報告書の概要】

2020年11月2日に設置された外部調査委員会は、調査対象となった事案に関する事実関係についての調査結果を12月16日に公表したものの、当該報告書には、「原因分析」と「再発防止策の提言」についての記述がなかった(本連載【第109回】参照)。

本報告書は、12月16日に開示された報告書に係る事実認定を基に、外部調査委員会が、ネットワンにおいて不適切な事案が繰り返される原因についての役職員の意見を確認するとともに、役職員の声も踏まえたうえで実効的な再発防止策を提言するために設けた「目安箱」に寄せられた役職員からの意見を踏まえて、「原因分析」と「再発防止策の提言」をまとめたものである。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第112回】

ネットワンシステムズ株式会社

「外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~(開示版)(2021年3月18日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ネットワンシステムズ株式会社外部調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔外部調査委員会〕

【委員長】

本村 健(弁護士)

【委 員】

和田 芳幸(公認会計士)

近藤 弘(公認会計士)

長谷川 紘之(弁護士)

山田 勝也(公認会計士)

冨田 雄介(弁護士)

調査補助者として、弁護士18名、公認会計士6名、その他パラリーガル・スタッフ等を任命している。

〔調査期間〕

2020年12月16日から2021年3月16日まで

〔委嘱事項〕

ネットワンシステムズ社の当委員会に対する委嘱事項は、本件案件の原因究明及び再発防止策の提言である。

もっともネットワンシステムズ社においては、本件案件だけでなく、過去にも2013年事案、2014年事案及び2019年循環取引事案という不祥事が繰り返されており、こうした背景には、経営陣の不正リスクへの関心の低さ、不正リスク管理体制の不十分さ、コンプライアンス活動の実践に真剣に取り組む姿勢の不十分さ等の存在も疑われた。そこで、当委員会は、上記委嘱事項を検討するに当たっては、これらの事案の過去の調査結果も踏まえたうえで、必要な範囲において、ネットワンシステムズ社のガバナンス、内部統制・内部通報・企業文化、三様監査等に関する課題等の検証、2013年事案、2014年事案及び2019年循環取引事案の再発防止策の実効性評価等も行った。

〔調査結果〕

 

【ネットワンシステムズ株式会社の概要】

ネットワンシステムズ株式会社(以下「ネットワン」と略称する)は、1988(昭和63)年2月設立。情報インフラ構築と関連サービスの提供を主たる事業とする。売上高186,167百万円、経常利益16,563百万円、資本金12,279百万円、従業員数2,431名(いずれも2020年3月期連結実績)。本店所在地は東京都千代田区。東京証券取引所1部上場。会計監査人は有限責任監査法人トーマツ(以下「トーマツ」と略称する)。

◎循環取引の端緒発覚から本調査報告書公表に至る経緯

  • 2019年11月14日
    東京国税局による税務調査の過程で、納品の事実が確認できない疑義があるとの指摘を受ける。
  • 同年12月13日
    特別調査委員会による調査開始。
  • 2020年2月13日
    特別調査委員会の中間報告書の受領/公表。
  • 同年3月12日
    特別調査委員会による調査結果と今後の対応を公表。
  • 同年5月8日
    東京証券取引所による「改善報告書」の提出請求及び「公表措置」の実施。
  • 同年6月5日
    東京証券取引所への「改善報告書」の提出。
  • 同年7月13日
    財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ。
  • 同年10月26日
    外部機関からの指摘により、従業員による資金流用の疑義を認識。
  • 同年12月14日
    外部調査委員会調査報告書受領(公表は16日付)。
  • 同年12月16日
    「ガバナンス・企業文化改革委員会」の設置、東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出、監査報告書及び四半期レビュー報告書における限定付適正意見の受領。
  • 2021年3月10日
    警視庁捜査2課が、元社員の牟田友英容疑者(42)を詐欺容疑で逮捕したことを発表、「当社元従業員の逮捕について」をリリース。
  • 同年3月18日
    「外部調査委員会調査報告書~ガバナンス・企業文化の観点から~(開示版)」の公表。
  • 同年3月19日
    再発防止策及び今後の対応について公表。

 

【調査報告書の概要】

2020年11月2日に設置された外部調査委員会は、調査対象となった事案に関する事実関係についての調査結果を12月16日に公表したものの、当該報告書には、「原因分析」と「再発防止策の提言」についての記述がなかった(本連載【第109回】参照)。

本報告書は、12月16日に開示された報告書に係る事実認定を基に、外部調査委員会が、ネットワンにおいて不適切な事案が繰り返される原因についての役職員の意見を確認するとともに、役職員の声も踏まえたうえで実効的な再発防止策を提言するために設けた「目安箱」に寄せられた役職員からの意見を踏まえて、「原因分析」と「再発防止策の提言」をまとめたものである。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

「おかしな数字」をパッと見抜く会計術

公認会計士 山岡信一郎 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

徹底解説 課税上のグレーゾーン

辻・本郷税理士法人 監修 辻・本郷税理士法人 関西審理室 編 税理士 山本秀樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

企業法務で知っておくべき税務上の問題点100

弁護士・税理士 米倉裕樹 著 弁護士・税理士 中村和洋 著 弁護士・税理士 平松亜矢子 著 弁護士 元氏成保 著 弁護士・税理士 下尾裕 著 弁護士・税理士 永井秀人 著

仮装経理の実務対応

税理士 鈴木清孝 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著

社会福祉法人の不正防止・内部統制・監査

全国社会福祉法人会計研究会 編著

新着情報

もっと⾒る

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#