〔会計不正調査報告書を読む〕
【第34回】
株式会社東芝
「第三者委員会調査報告書(平成27年7月21日付)」
(後編)
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
前編はこちら
本稿では、公表された調査報告書に基づき、先週、前編としてお届けした会計不正の手口や原因分析に引き続き、後編として、再発防止策、調査報告書の特徴、調査報告書によっても明らかにならなかった事実について、検討することとしたい。
【第三者委員会調査報告書受領に至るまでの経緯】(再掲)
平成27年4月3日
「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」
同年5月8日
「第三者委員会設置のお知らせ」
「業績予想の修正に関するお知らせ」
「剰余金の配当(期末)に関するお知らせ」
同年5月13日
「現時点で判明している過年度修正額見込み及び第三者委員会設置に関する補足説明」
同年5月15日
「第三者委員会の委員の選任等に関するお知らせ」
同年5月22日
「第三者委員会の調査対象に関するお知らせ」
同年5月29日
「第176期有価証券報告書及び第177期第1四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出に関するお知らせ」
同年6月12日
「自主チェック結果、特別調査委員会の調査概要及び第三者委員会への委嘱事項との関係についてのお知らせ」
同年7月17日
「第三者委員会報告書の開示予定等に関するお知らせ」
同年7月20日
「第三者委員会調査報告書の受領及び判明した過年度決算の修正における今後の当社の対応についてのお知らせ」
同年7月21日
「第三者委員会の調査報告書全文の公表及び当社の今後の対応並びに経営責任の明確化についての知らせ」
「代表執行役の異動に関するお知らせ」
【第三者委員会の概要】(再掲)
〔適時開示(不正発覚)〕
- 2015(平成27)年4月3日
「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」 - 同年5月8日
「第三者委員会設置のお知らせ」
〔第三者委員会〕
委員長:上田 廣一(弁護士)
委 員:松井 秀樹(弁護士)
委 員:伊藤 大義(公認会計士)
委 員:山田 和保(公認会計士)
〔調査期間〕
2015(平成27)年5月15日から7月20日まで
〔委嘱事項(当初)〕
工事進行基準に係る会計処理の適正性、その他東芝が本委員会に委嘱する事項の調査を行うとともに、当該調査の対象となった会計処理が適正性を欠くと判断した場合には、その発生原因の究明及び再発防止策の提言を行うこと
〔委嘱事項(追加後)〕
(1) 工事進行基準案件に係る会計処理
(2) 映像事業における経費計上に係る会計処理
(3) ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理
(4) パソコン事業における部品取引等に係る会計処理
〔適時開示〕
- 2015(平成27)年7月20日
「第三者委員会調査報告書の受領及び判明した過年度決算の修正における今後の当社の対応についてのお知らせ」 - 同月21日
「第三者委員会の調査報告書全文の公表及び当社の今後の対応並びに経営責任の明確化についての知らせ」
【株式会社東芝の概要】(再掲)
株式会社東芝は、1875(明治8)年創業。日本を代表する総合電機メーカー。売上高6兆5,000億円余。営業利益2,900億円余、総資産額6兆2,400億円、純資産額1兆6,500億円を超える企業規模を誇り、連結子会社は598社に上る。従業員数約20万名(平成27年3月期)。本店所在地は東京都港区。東証、名証1部上場。
【再発防止策】
1 第三者委員会による提言
第三者委員会は、再発防止策として、「直接的な原因については原因それ自体の除去を目的」として、また「間接的な原因についてはハード面及びソフト面の双方から是正を行うことを目的」とするという考え方のもとに、以下の提言を行っている。
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