〔会計不正調査報告書を読む〕
【第20回】
株式会社タカラトミー・
「連結子会社における不適切な会計処理に関する調査報告書」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【概 要】
〔適時開示(不正発覚)〕
- 2014(平成26)年7月24日
「不適切な会計処理の判明、及び社内調査委員会による調査開始についてのお知らせ」
〔第三者委員会〕
- 委員長:宮城 覚映(タカラトミー社外取締役)
- 委 員:梅田 常和(タカラトミー社外監査役、公認会計士)
- 委 員:吉成 外史(タカラトミー社外監査役、弁護士)
- 委 員:新川 麻(西村あさひ法律事務所、弁護士)
- 委 員:平尾 覚(同)
- 委 員:上島 正道(同)
- 委 員:高山 陽太郎(同)
- 委 員:柴田 英典(同)
- 調査補助者:松藤 斉(デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社、公認会計士)
- 調査補助者:曽我 勝一(同)
〔調査期間〕
2014(平成26)年6月25日から2014年(平成26)年8月8日まで
〔調査依頼者〕
株式会社タカラトミー
〔調査委員会の目的〕
株式会社タカラトミーの子会社である株式会社タカラトミーエンタメディアにおける
(1) A社が関与した取引に係る不適切な会計処理等の有無の把握・分析
(2) 両社における、本件取引に関連した内部統制上の問題点の有無の検討
(3) 再発防止策の提言
〔適時開示〕
2014(平成26)年8月8日
「当社連結子会社における不適切な会計処理に関する報告」
「訂正有価証券報告書の提出および過年度決算短信等の訂正に関するお知らせ」
【株式会社タカラトミーの概要】
株式会社タカラトミー(以下「タカラトミー」という)は、1953(昭和28)年設立。2006(平成18)年3月、株式会社タカラと合併、現社名となる。玩具・雑貨・カードゲーム・乳幼児関連商品等の企画、製造及び販売を主な事業内容とする。連結売上高155,968百万円、経常利益3,372百万円、従業員数2,056名(平成26年3月期)。本店所在地は東京都葛飾区。東京証券取引所1部上場。連結子会社である株式会社タカラトミーエンタメディア(以下「T2E」という)は資本金約357百万円、タカラトミーの持ち株比率は95%。コンテンツ企画・制作、通信コンテンツ企画・配信、広告・メディア事業を行っている。売上高2,499百万円、経常利益41百万円。
不適切な会計処理が判明したT2Eアドコミュニケーション部の売上高は1,825百万円(いずれも平成26年3月期)。
【T2Eの沿革】
- 2002年2月
設立。設立時の社名はタカラモバイルエンタテインメント株式会社。
- 2005年9月
合併前の株式会社タカラと株式会社トミーが、株式会社インデックス(以下「インデックス」という)との間で「戦略事業会社」として同社を位置付け、株式会社ティーツーアイエンターテイメントに商号を変更。
- 2009年10月
現社名に変更。
【報告書のポイント】
1 調査に至った経緯
(1) 社内調査委員会設置の経緯
調査報告書によれば、平成26年6月25日、T2Eは、取引先であるA社代理人から、同月23日付の内容証明郵便を受け取り、A社がT2Eとの間でいわゆる架空循環取引を行っていた旨の通知を受けた。
これを受けて、タカラトミーは事実関係の調査を行うため、社内調査委員会による調査が行われることとなった。
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